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それは20年以上前の話。
ゲームボーイという携帯型ゲームが大流行し、テトリスにはまる者が続出した。
ワシの友人に須川という、当時まだほとんどいなかったギャル男のはしりともいうべき最先端の奇抜な風貌をしていた男がいるが、ヤツもテトリスにはまってしまった男の一人で、一度始めると数時間はゲームオーバーにならないほど腕を上げていた。
携帯電話がない時代だが、須川はいつも片手に初代ゲームボーイを携えて、時間があればテトリスをプレイしていた。
そんなある日、ワシの家に遊びに来た須川はワシが風呂に入っている間にテトリスをおっぱじめやがって、ワシが風呂からあがってきても一向にやめる気配がない。
どうもハイスコアを狙える状態にあるらしく、延々テトってやがる。
しかし、ワシは翌日早朝よりバイトがあったので、電気を消して寝たかったのだ。
「おい!!須川!!寝るぞ!!」
といったが心ここにあらず、「電池が…電池が…」といってゲームボーイを傾けながら一生懸命テトっている。
当時のゲームボーイは、コントラストを薄く調整すると乾電池が長持ちしたのだが、須川はその日、電池残量が少なくなって、さらに液晶表示が薄くなってきた画面を、どうでもええハイスコアのために、もっと薄くして斜めから画面を見ることによって電池を持たせるという荒業まで使ってプレイしていたのだった。
もちろんバックライトもない液晶なので電気を消せば何も見えない。
不憫に思った心優しいワシは、電気をつけたまま就寝したのだった。
(余談だが、当時のゲームボーイは電池が切れるとハイスコアは消えるので、ただの自己満でしかない。)
翌日、目を覚ますと床には電池の切れたゲームボーイ片手に爆睡している須川が…
ワシは急いで出発しなくてはならなかったので、少々手荒に須川を起こした。
「おい!!須川!!起きろ!!おれもうバイト行くぞ!!」
といいながら須川の横腹に蹴りを入れた。
その時、須川の口からエジソンもびっくりのノーベル賞的な驚くべき寝言が飛び出した!!
「うぅ…乾電池が無制限になるぅぅぅ…」
どんな夢見とんねんコイツ!!