寝る子は育つ
これも20年以上前の話だが、たまり場になっていたワシの家には、いろんな奴が来ては勝手にワシのベッドで寝ているという事がよくあった。
以前にも紹介したワシの友人、元祖ギャル男の須川だが、奴はかなり睡眠が深い上に、どんな環境下でも寝れる男で、用事もないのにワシの家に来て爆睡している事が多かった。
いちいちそんなことは気にせず、ワシは淡々と本を読んだり、テレビを観たり、別の事をしていたのだが、ある日、須川が突然「うーーん…むにゃむにゃ」といった具合に、マンガのように典型的な寝言を放ったのだ!!
普段、そんなことは気にも留めないワシだが、その日は面白い番組もしておらず、寝言がつぼにはまって面白かったので、もっと寝言を言わしてやろうと爆睡している須川に話しかけてみたり…
ティッシュでこよりを作って鼻に挿しこんだりしてみたりといろいろいたずらしてみたが、一向に寝言を言わない。
最終的に手をライターで炙ったらベッドで暴れ出した!!
そんな状態でもしぶとく眠る須川。
ワシもさすがに飽きてきたし、寝言を言わせるのは諦めることにした。
しかし睡眠もここまで深いと、もはや特技といってもよいほどだ。
感心していると、どこからか
「プーップーッ」
という電子音が聞こえる。
床を見ると固定電話の受話器が落ちていて、プー音を発していた。
さっき須川が暴れた時に枕元の電話に当たって受話器が転がり落ちたのだろう…
なんとなくムカついたので、特に意味はなかったが須川の耳元にそのまま受話器を置いてやった。
そんなことはすっかり忘れた10分ほど後…
須川が突然ガバっと飛び起きて…
お…
おれ今…
トラックがバックしてきて轢かれるとこやった…
て、どんだけ夢直結しとんねーん!!