時計
頭がよいとか悪いとか、学問だけの話ではなく、常識があるかどうかという意味でもつかわれることしばしば。
しかし、こと今回に限っては勉強の話。
ワシの友人の一人にトモヤスという奴がいる。
顔面凶器の見本というような面構えで、ほとんどの人間が目をそらす逸材だ。
ワシも知り合いでなかったら100%目をそらすだろう。
このトモヤス、もちろんその見た目を裏切ることなくお勉強の方はあまり得意ではない。
だが、こと一般常識に限ってはキッチリしており、礼節ある立ち居振る舞いのできる、一本筋の通った男だ。
学歴は中卒だが、奴の職場の社長からの信頼は絶大で、社長の代わりに数百人の社員をまとめる、いわば社長の右腕といえる程の重要なポストを任されている。
奴の会社の社長に会って話をしたことがあるが、トモヤスの事を息子のように思っていると言っていたし、奴の職場の部下にも会ったことがあるが、ものすごく信頼され、慕われているのが伝わってきた。
ワシももちろん友人として心の底から信頼しており、頭の回転も速く、判断力に優れ、人にも慕われ、頭が悪いと思ったことなど一度もない。
このトモヤスの弟にユキオという男がいる。
こいつもまた学歴は中卒だが、ものすごくいい奴。
明るく、礼儀正しく、いつもニコニコしていて、他人の迷惑になるような事は絶対にしない、頼まれごとも笑顔で引き受けるし、人が嫌がる仕事もすすんでする。
人から嫌われることのない本当に性格のいい奴だ。
ユキオも現場仕事だが、上司から信頼されており、班長をしている。
ユキオが現場でどのような采配をして、どんな仕事をしているかは見たことがないので知らないが、おそらく兄の血筋で完璧な仕事をこなしていると期待している。
しかし…
しかしだ…
残念な事にユキオは少しばかりお勉強が足りな過ぎた…
小学生ですでにお勉強を放棄してしまった…
そのため彼は一般常識の一部が欠けてしまっているのだ…
彼は
アナログの時計が読めない!!!!!
最低限のお勉強はしようぜ!!