盗みはアカン
ワシは若い頃犯罪者やった。
若い頃ヤンチャしとったとか、曖昧な逃げは言いたくない。
他所様のモン盗んだり、破壊行為や、傷害も数多くした、最低の人間だった。
もちろん今ではものすごく反省している。
反省して罪が償えるわけではないが、真面目に、もちろん、人様よりもずっと真面目に法を守り、ルールを守り、マナーを守り暮らしているつもりだ。
まあそんなこんなで、二十数年前の犯罪行為のうちのひとつを懺悔する。
まだ中学生の頃、ワシはあろうことか、法を犯すことをかっこよいと思っていた時期があった。
部屋には、国土交通省の所有物であろう道路標識や、工事現場の財産である看板、コーン、商店の集客の為に高額で購入されたであろう看板の人形など、通常一般家庭には不要なはずのもんがいっぱい飾ってあった。
右側のオンナノコはもちろん彼女ではなく、ぺこちゃん。
そして、オレンジのはペットの象ではなく、さとちゃんである。
そして、ガキというのはどアホなので、調子に乗ってどんどんエスカレートする。
ついに「アレ」に手を出すことになった。
「アレ」とは…そう
ケンタッキーフライドチキンのカーネル・サンダース
こんなことに慣れてしまってはいけないのはもちろん承知しているが、後輩のヒデオを引き連れ深夜に決行。
手慣れたもので、あっさりと盗難に成功。
早速ワシの家に戦利品を飾ろうと持ち込んだ。
世の中にこの人形を運んだことのある人がそれほど多いとは思えないが、見た目以上に重く、そして大きい。
必死になった中学生2人で運び込もうとしたが、なんと…
当時住んでいたアパートのドアが、思っていた以上に狭く、置いてある下駄箱と開口部の隙間からどう考えても入らない。
まさにorz状態…
困った…
困った…
そこらへんに捨てるとばれるかもしれない…
ケンタッキーに返すにもまた運ぶ体力もないし、夜が明けて明るくなっているので捕まるリスクが大きい。
こういうときだけ弱気になってしまうのも中学生の特徴である。
ヒデオと相談の上最終的にとった作戦。
携帯電話の「ケ」のじもなかった当時、そこらじゅうにあった電話ボックスにカーネルサンダースを運び、ケンタッキーに電話した。
「カーネルだが、迎えに来てくれんか?」
カーネルになりきって、おっさんぽい低い声で、そして標準語で公衆電話の場所を告げ、一目散に逃げたとさ。
最後まで見てないが、翌日カーネルがなかったところを見ると迎えにきたんやろうけど
こんな風にカーネルがまっとったら迎えに来た人びびるやろなー。
すんません。
ちなみにこれと似た話たまに聞くけど、ワシのがオリジナルでっせ。
盗みはアカンけど盗作もあきませんに。
※尚、掲載のすべての罪について法律上の刑罰および謝罪はすんでおります。