【小説レビュー】神の子どもたちはみな踊る[著者:村上春樹 新潮文庫]
nanamiでし。
村上春樹著の短編小説集。
この短編集には「UFOが釧路に降りる」「アイロンのある風景」「神の子どもたちはみな踊る」「タイランド」「かえるくん、東京を救う」「蜂蜜パイ」の6作品が収録。
1番のおススメは「かえるくん、東京を救う」。
以下、ネタバレありなのー。
信用金庫に勤める片桐の前にある日突然巨大なカエル(かえるくん)が現れ、一緒に大地震から東京を救うというストーリー。
地下で眠っている「みみずくん」は腹を立てると地震を起こしてします。まさに、今、腹を立てて東京に大地震を起こそうとしている、それを阻止できるのは片桐だけだと、かえるくんは言う。実際に戦うのはかえるくんで、片桐には後ろで応援していてほしいと。
片桐が銃撃される幻覚を見て意識を失っている間にみみずくんとの闘いは行われる。病院で横たわる片桐の枕元にかえるくんが現れて闘いのすべてを報告する。かえるくんは、みみずくんとの闘いを引き分けに持ちこみ、東京を地震から救ったのだ。
「いずれにせよ、すべての激しい闘いは想像力の中でおこなわれました。それこそがぼくらの戦場です。ぼくらはそこで勝ち、そこで破れます。誰も気づいていませんが、僕らはそれを達成したのです。」と、かえるくんはいう。
「目に見えるものが本当のものとはかぎりません。ぼくの敵はぼく自身の中のぼくでもあります。ぼく自身の中に非ぼくがいます」。そしてかえるくんは無惨な姿へと崩壊し、消えてしまう。
何もかもがありえない…と思ってしまうストーリーだけど、自分が知らないだけで本当はいつも何かが起こっているのかもしれない、と思わせてくれる不思議なお話。
自分の体を犠牲にしてまで戦ってくれたかえるくんのことを思うと、心があったかくなって、もう1度最初から読みたくなるのー。
短編ですらすら読めて、登場人物も絵本のようなので、活字がちょっと苦手…という人にもおすすめ!
かえるくん気になる度★★★★★

nanami

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